妻が浮気しているだけでもショックですが、妻が浮気相手の子どもを妊娠しているとわかったら旦那さまとしてはあまりの仕打ちに冷静ではいられません。
当然妻とは離婚したいと考えるでしょうし、浮気相手や妻に対して慰謝料請求を始めとしたペナルティを与えたいと考えます。
しかし妻が浮気相手の子どもを妊娠したとしても、何の準備もなしに離婚すると旦那の方に不利益が及ぶ可能性もあります。
慰謝料請求するとしても準備が必要で、やみくもに行動すると良い結果は得られません。
今回は妻が浮気相手の子どもを妊娠するという最悪の出来事が起こったときに旦那がとるべき行動をご紹介します。
妻が浮気相手の子どもを妊娠していると気づくきっかけ
そもそも旦那さまが「妻が浮気相手の子どもを妊娠しているかも?」と気づくのは、どういったきっかけが多いのでしょうか?
旦那と性交渉がない
妻が浮気相手の男性との子どもを妊娠していると疑われるのは、通常妻が旦那さまと性交渉をしていないケースです。
旦那さまとの性交渉があれば、妻が妊娠していても通常は旦那の子どもだと考えるからです。
自分と性交渉していないのに妻が不審な行動をとっていたら、妊娠を疑うものです。
ただし中には、旦那と性交渉があっても浮気をして浮気相手の子どもを妊娠してしまう妻もいます。
そのような場合、子どもの父親を特定するためにDNA鑑定等が必要になり、トラブルが大きくなります。
産婦人科の領収証や検査資料を発見
妻が浮気相手の子どもを妊娠すると、気になって産婦人科に行き検査を受けるものです。
そうすると、産婦人科で医療費の領収証や検査資料の写しなどを受け取ります。
妻がこういった書類や資料を不用意に家においていたりゴミ箱に捨てたりしているのを旦那さまが発見して「浮気相手の子を妊娠しているのでは?」と疑い始めるパターンが多いです。
妊娠検査薬を発見
「妊娠しているかも?」と思ったら、いきなり産婦人科に行かずに自分で妊娠検査薬を使って調べてみる妻が多いです。
その場合、結果の資料や検査薬のパッケージなどをゴミ箱に捨てているのを旦那が発見して、妻の妊娠や浮気が発覚します。
浮気相手とのメールやSNSを発見
妻のスマホやPCを見ていると、妻が浮気相手とメールやSNSなどでやり取りとしているのを発見するケースがあります。
そのようなとき、メッセージの内容を見ると妊娠を疑わせるようなやり取りが見つかります。
たとえば「病院行ってきた」「どうだった?」「堕ろすかどうか迷ってる」「旦那にばれたら殺される」などと書いてあれば、妊娠しているとわかるでしょう。
探偵の浮気調査で発見
妻の浮気を疑ったとき、旦那が探偵を雇って浮気調査させるケースがありますが、探偵の浮気調査をきっかけに妻の妊娠が発覚するケースもあります。
尾行調査をすると、妻が一人や浮気相手と一緒に産婦人科に行くところを押さえられる場合があるためです。
以上のようなきっかけで妻の浮気相手との子どもの妊娠が発覚したら、まずは気持ちを落ち着けるところから始めましょう。
いきなり感情的になって妻を問い詰めると良い結果は得られにくいです。
妻が浮気相手の子どもを妊娠したときに夫がとるべき行動
次に妻が浮気相手の子どもを妊娠したと疑われる際に、夫がとるべき行動を順番にみていきましょう。
- まずは妊娠の事実を確認する
- 子どもの父親を確認する
- 浮気の証拠を入手する
- 堕ろすか産むか決める
- 離婚するかどうか決める
- 慰謝料請求するかどうか決める
まずは妊娠の事実を確認する
妻が妊娠していると思っても、実際に妊娠しているかどうかわかりません。
まずは妊娠が確実であるかどうかを調べる必要があります。
妻が既に産婦人科に行っているならその資料を見せてもらうと良いですし、まだ受診していないならすぐに受診して検査を受けさせるべきです。
子どもの父親を確認する
次に子どもの父親も確認しておくべきです。
妻と自分との間に性交渉がなければ確実に浮気相手との子どもですが、旦那さまとの性交渉もある場合には旦那さまの子どもかもしれません。
妊娠7~8週目くらいになったら妊娠中でもDNA鑑定ができるので、自分の子どもかわからないなら費用をかけても鑑定を受けるべきです。
浮気の証拠を入手する
妻の浮気の証拠をつかんでおくのも重要です。
妻が浮気相手の子どもを妊娠したら、旦那としては離婚や慰謝料請求を考えるものですが、これらの手続きを進めるためには必ず浮気の証拠が必要だからです。
具体的には、妻が浮気相手の子どもを妊娠した証拠が必要です。
産婦人科での領収証や検査結果の資料、DNA鑑定結果の書類など、なるべく多くの資料を手元に残しておきましょう。
妻が浮気相手の子どもを妊娠していると判明すると、気が動転して重要な証拠を手元に残しておくのを忘れてしまう旦那さまも多いので、要注意です。
堕ろすか産むか決める
浮気相手の子どもを妊娠していると確実になったら、子どもを堕ろすか産むかを決めなければなりません。
子どもを堕ろせるのは妊娠21週目までなので、妊娠発覚が遅かったケースなどでは特に急いで決断する必要があります。
なお、夫婦関係を修復したいなら子どもを堕した方がよいです。
子どもを産むと旦那と浮気相手の子どもとの間に法律上の親子関係が発生して複雑になりますし、旦那としても毎日を気持ちよく過ごせなくなります。
家庭生活を継続していく上で、さまざまな問題が発生してしまいます。
離婚するかどうか決める
妻が子どもを堕ろすとしても産むとしても、妻と離婚するかどうかを決めなければなりません。
妻が浮気相手の子どもを妊娠すると「不貞」があった事実が明らかになるので、問題なく離婚できます。
不貞は法律上の離婚原因になるからです。子どもを堕しても離婚は可能です。
ただし浮気相手の子どもを妊娠というとんでもない裏切り行為をしているとしても、離婚すると旦那さま側が不利になるケースがあるので注意が必要です。
離婚にまつわる問題については後の項目で詳しく説明します。
浮気の慰謝料請求するかどうか決める
最後に浮気の慰謝料請求について態度を決めるべきです。
妻が浮気相手の子どもを妊娠して「不貞」が明らかになったら、妻や浮気相手の男性に浮気の慰謝料請求できます。
不貞は夫婦関係を破壊する重大な裏切り行為であり、不法行為となるからです。
不貞(浮気)は妻と浮気相手が共同で行う不法行為なので、慰謝料は妻にも浮気相手の男性にも請求できます。
どちらに慰謝料請求をするのか、あるいは双方に慰謝料請求するのか、また慰謝料請求をしないで終わらせるのかなど、選択肢が複数あるので状況に合わせて選択しましょう。
妻が浮気相手の子どもを産むときのポイント
妻が子どもを産むかどうか決断するときには、以下のような点がポイントとなります。
子どもは「旦那の子」になってしまう
妻が浮気相手の子どもを産む場合、子どもの父親が誰になるのかという問題があります。
当然「浮気相手の子ども」になると思われるかも知れませんが、法律上はそういった扱いになりません。
旦那との婚姻中に生まれた子どもについては、旦那の子どもであると推定されてしまうからです。
婚姻中だけではなく、離婚後300日以内に生まれた子どもも、元旦那の子どもであると推定されます。
子どもの出生届を役所に提出すると、自動的に子どもは旦那の戸籍に入ります。
つまり妻が浮気相手の子どもを産んだら最後、たとえ妻と離婚してもその子どもが「自分の子ども」という扱いになってしまうのです。
このような結果は耐えられない、信じられないという旦那さまが多いでしょう。
旦那の子どもになる問題点
もしも浮気相手の子どもが旦那の子どもになってしまったら、感情的な問題だけではなく法律的な問題もあります。
以下でどのような問題が発生するのかご説明します。
養育費の支払い義務
1つは養育費支払い義務です。
親子であれば当然に子どもの養育をしないといけないからです。
浮気相手の子どもが旦那の子どもとなれば、離婚後その子どもが成長するまでの間毎月養育費を送金し続けないといけません。
遺産相続権
もう1つは遺産相続の問題です。
子どもは第1順位の相続人となりますから、旦那さまが亡くなったら必ず子どもが遺産を相続します。
つまり自分が死亡したときに、自分と血のつながりもない浮気相手の子どもが遺産を相続してしまう結果となります。
旦那の子でなくす方法
このように妻が浮気相手の子どもを産むと、子どもとの間に親子関係が発生して大変な問題が起こりますから、法律上の親子関係をなくさなければなりません。
そのためには裁判所での手続きが必要です。具体的には「嫡出否認」という手続きを行います。
まずは調停により、妻との話し合いによる解決を目指します。
嫡出否認調停をすると、調停委員を介して妻と話し合いを進め、お互いに子どもが旦那の子どもでないと確認できたら調停が成立して、親子関係を否定できます。
妻が調停に来ないケースや調停で話し合っても妻が親子関係の否定に合意しない場合には、調停は不成立となり「嫡出否認の訴え」という裁判が必要となります。
なお嫡出否認の調停や訴訟の相手方は、子どもが成人していれば子どもになりますが、子どもが未成年の間は親権者である母親(妻)です。
嫡出否認の調停や訴訟によって親子関係がないと確認されたら、裁判所で発行される調停調書や判決書を市町村役場に提出すると、子どもとの親子関係を消してもらえます。
子どもと法律的な親子関係がなくなったら養育費も支払わなくて良いですし、死亡したときにお互いに相続が起こる心配もありません。
また裁判手続きによって旦那と子どもの親子関係が否定された後に、子どもの本当の父親(浮気相手)が子どもを認知すると、子どもと浮気相手の男性との正式な親子関係を確認できます。
離婚した方が良いのか
子どもを産む場合、妻と離婚すれば大きな問題はありませんが、離婚しない場合にはさまざまな困難を覚悟しなければなりません。
嫡出否認の訴えをすればとりあえず法律上の親子関係は否定できますが、離婚しないのであれば、浮気相手の子どもと同居して育てていかなければならないからです。
もちろん浮気相手の男性が子どもを引き取ってくれれば良いですが、そういった事例は少ないです。
そうなると、旦那さまは毎日浮気相手の子どもの顔を見ながら生きていかなければならず苦痛を感じます。
特に自分の子どもがいる場合には、浮気相手の子どもと自分の子どもを同じように扱えと言われても、できない方がほとんどでしょう。
最初は自分を抑えていても、だんだんと辛くなってくるものです。
妻が浮気相手の子どもを妊娠したとしても、「離婚したくない」「寛大な心で受け入れたい」と考える方もおられますが、子どもを産むなら家族を続けていくのは相当な困難を伴います。
絶対に失敗するとは言いませんが、お勧めはできません。復縁したいなら子どもは堕した方が良いでしょう。
離婚する際に問題となるポイント
次に妻が浮気相手の子どもを妊娠したときに、離婚するパターンについて考えてみましょう。
妻が浮気相手の子どもを妊娠したのであれば、夫に有利に離婚できそうなものですが、実際はそうとは限らないので注意が必要です。
以下で離婚の際によく問題となるポイントをご紹介していきます。
財産分与
離婚の際には財産分与が非常に重要です。財産分与とは離婚の際に夫婦が共有財産を分け合う手続きです。
婚姻中は夫婦の財産が共有状態になっているので、離婚するときには清算して分け合わないといけません。
財産分与は「慰謝料」とは異なるので、慰謝料とは別に話し合って決める必要があります。
それでは財産分与はどのようにして行うのでしょうか?
妻が浮気相手の子どもを妊娠して離婚になったのであれば、当然旦那に多くの財産分与が行われると考える方がおられます。
しかし、財産分与をするときには「有責性」は関係ありません。
つまり離婚原因を作りだした責任のある配偶者でも、同じように財産分与を受ける権利があるのです。
財産分与の割合は基本的に夫婦が2分の1ずつとなります。
そこで妻が浮気相手の子どもを妊娠して離婚するケースでも、妻は夫婦共有財産を半分取得できます。
財産分与の対象になるのは、夫婦の名義の預貯金、積立金、現金、積立金、車や生命保険金、株式や投資信託、ゴルフ会員権など価値のあるものすべてです。
旦那名義で多くの預貯金や不動産などがある場合、離婚の際には妻に多額の財産分与をしなければならないのです。
浮気の慰謝料はそれほど高くならないので、財産分与が1000万円とか数千万円となると、旦那にとっては離婚による持ち出しの方がよほど大きくなってしまいます。
妻が浮気相手の子どもを妊娠したから離婚したのに、夫の方が離婚後の生活に心もとなさを感じてしまうケースもありえるので要注意です。
慰謝料
次に慰謝料が重要な問題となります。慰謝料については後の項目で詳しく説明するのでここでは割愛します。
親権
妻との間に旦那の子どももいるケースでは、子どもの親権を決めなければなりません。
妻が浮気相手の子どもを妊娠して離婚するパターンでは、子どもの親権問題が大きな問題となります。
特に妻が子どもを産む場合、自分の子どもと浮気相手の子どもが同じ場所で育てられて良いのかという点を考えなければなりません。
親権をとりたいケース
妻が浮気相手の子どもを妊娠した場合、そのような妻に自分の子どもを任せるのに抵抗を感じる旦那さまが多いです。当然の心情でしょう。
妻が倫理に違反した行動をとっているのだから、子どもの親権は当然自分に認められると考えます。
しかしこのようなケースであっても、必ず旦那さまが子どもの親権を取れるとは限らないので注意が必要です。
子どもの親権を決めるときには、離婚原因を作ったかどうか、不倫したかどうかという点よりも、これまでの養育状況や離婚後の子どもとの予定される環境、子どもとどのくらい接触できるかなどの事情が評価されるからです。
また子どもが幼児期までの間は、母親が優先されやすい傾向が顕著です。
さすがに妻が「浮気相手と一緒に住んで浮気相手の子どもを産み、今までの子どもも一緒に育てる」と言っているなど背徳的な事案ではなかなか妻に親権が認められにくいですが、妻が「子どもは堕ろす。浮気相手とも別れる。一人でも子どもを育て上げてみせます」などと言っていると裁判所も母親にチャンスを与えようとするものです。
しかもそのようなことを言っていても、妻が本当に子どもを堕したり浮気相手と別れたりするとは限らず、離婚が成立してしまったらちゃっかり浮気相手と再婚してしまう可能性もあるのです。
父親が親権をとりたいなら「妻の浮気による離婚だから親権を取れる」とたかをくくるのではなく、極めて慎重な対応が必要となります。
親権をとらなくて良いケース
親権をとらなくて良いケースでも子どもとの関係が問題となります。
妻が浮気相手と再婚する場合、妻と浮気相手が子どもを育てていくからです。
浮気相手の子どもを産まないケースではまだしも、浮気相手の子どもを産むならば自分の子どもが浮気相手の子どもと同じようにかわいがってもらえると期待するのは難しいでしょう。
折に触れて子どもは浮気相手の子どもと比べられたり差別的な扱いをされたりして寂しい思いをするでしょうし、最悪の場合には虐待を受ける可能性もあります。
また子どもを妻が引き取る場合、浮気相手(再婚相手)と子どもが養子縁組をしない限り、元夫は子どもに養育費を支払い続けなければなりません。
養育費を支払っても子どものために使われるとは限らず、元妻と浮気相手とその子どものためだけに使われて、自分の子どもには回らない可能性もあります。
さらにいったんは妻が子どもの親権を取得したとしても、浮気相手やその子どもとの生活が大事になってきたら「やっぱり子どもを育てられない」と言って養育を放棄して、いきなり引き取るように要求してくる可能性もあります。そのときに旦那の側も引き取れなかったら子どもは施設に預けるしかありません。
このように、妻が浮気相手の子どもを妊娠したときに自分たちの子どもがいると、非常に複雑でややこしいトラブルが起こりやすいです。
離婚するならば、なるべく旦那さまの側で子どもを引き取る方が安心でしょう。
養育費
離婚時に子どもの親権者にならないのであれば、子どもの養育費を支払わなければなりません。
浮気相手との子どもについては嫡出否認によって親子関係がないと証明し、養育費を支払わなくて良くなりますが、血のつながりのある本当の子どもについては基本的に20歳になるまで養育費支払い義務が発生するからです。
養育費の金額は、支払う側の旦那の収入と受け取る側の妻の収入によって決まります。
旦那の収入が高額なケースや妻の収入が低額なケースでは、養育費の金額が高額になります。
妻の浮気によって離婚するケースでも、養育費を減額してもらえません。
ただし妻が浮気相手やその他の男性と再婚し、再婚相手の男性と子どもとの間で養子縁組した場合には、元旦那には養育費支払い義務がなくなります。
養子縁組をすると法律上の親子関係ができて、養親に一次的な扶養義務が発生するからです。
妻が離婚に応じない場合
妻が浮気相手の子どもを妊娠したとき、妻に離婚を求めても離婚に応じてもらえないケースがあります。
妻が専業主婦などで収入がない場合、離婚されると生活が苦しくなる可能性がありますし、妊娠しても子どもを堕して旦那とやり直したいと希望する妻もいるからです。
離婚に応じない妻と離婚する方法
妻が離婚を拒絶する場合、協議離婚の方法では離婚できません
協議離婚とは夫婦が離婚届を作成して、市町村役場に提出する方法による離婚です。
協議離婚するときには相手が離婚に合意する必要があるので、たとえ浮気相手の子どもを妊娠するような妻であっても離婚を拒絶する限り、無理矢理離婚させられないのです。
その場合、離婚調停によって離婚手続きを進める必要があります。
離婚調停をすると調停委員が間に入って離婚の話合いを仲介してくれます。
ただし調停も話し合いで解決するための手続きなので、妻が離婚を受け入れなかったらやはり離婚を成立させられません。
その場合「離婚訴訟」によって離婚するしかありません。
離婚訴訟は裁判によって離婚する方法です。離婚訴訟において妻の「不貞」を証明できたら判決によって離婚を認めてもらえますし、慰謝料の支払命令も出してもらえます。
ただ離婚訴訟で離婚や慰謝料の判決を獲得するには必ず「浮気の証拠」が必要です。
裁判では証拠のない事実は認められないからです。
産婦人科の領収証や妊娠検査薬の結果、探偵事務所の浮気調査報告書など、確実に「肉体関係」を証明できる証拠をなるべくたくさん集めておきましょう。
婚姻費用について
妻と離婚するときには「婚姻費用」にも注意が必要です。
婚姻費用とは夫婦がお互いに負担すべき生活費です。
離婚前に妻と別居する場合、旦那は基本的に妻に対し、婚姻費用を毎月送金しなければなりません。
ただし妻が浮気して別居に至ったケースでは、婚姻費用の支払いは不要となったり減額されたりする可能性があります。
妻が夫を裏切って一方的に家出したのに、婚姻費用だけを請求するのは信義則上認められないからです。
妻が子どもと一緒に出ていった場合、子どもの養育費相当分は支払わなければなりませんが、妻の分は支払わなくてよくなるケースが多いです。
妻が妊娠して勝手に出ていって婚姻費用を請求してきた場合、そのまま応じる必要はありません。
浮気の慰謝料請求のポイント
妻が浮気相手の子どもを妊娠して家出したら、浮気の慰謝料請求したいと考える旦那さまが圧倒的に多数です。
浮気の慰謝料請求する際に知っておくべきポイントをご紹介します。
妻と浮気相手の両方に浮気の慰謝料請求できる
妻が浮気した場合には、妻と浮気相手の両方に浮気の慰謝料請求できます。
この場合、妻にも浮気相手にも全額の慰謝料を請求できます。妻に半額、浮気相手に半額というわけではありません。
ただしどちらかから全額の支払いを受けると、他方にはそれ以上請求できなくなります。
2人に請求できるから慰謝料が2倍になるという意味ではありません。
また妻だけに請求するのも浮気相手のみに請求するのも妻と浮気相手の両方に請求するのも可能ですから、慰謝料請求するときには、まずは「誰に対して請求するのか」を決める必要があります。
浮気の慰謝料の金額
次に「いくら」の慰謝料を請求するかという問題があります。
浮気の慰謝料の金額には相場があります。
標準的な浮気の慰謝料の相場
浮気の慰謝料の相場は、だいたい100万円~300万円程度です。
婚姻期間との関係
婚姻期間が長くなると浮気の慰謝料の金額が上がります。
婚姻期間が2、3年までの場合浮気の慰謝料は150万円程度にまでしかなりませんが、婚姻期間が10年以上になると浮気の慰謝料が300万円を超えるケースが多くなります。
浮気相手の子どもを妊娠・出産すると浮気の慰謝料が高くなる
通常は、浮気しても子どもを妊娠したり出産したりしないケースの方が多いです。
妻が浮気して妊娠すると旦那さんの精神的苦痛はそうでないケースより当然強くなるので、浮気の慰謝料が高額になります。
子どもを堕して出産しなかったケースでも同じです。
妻と離婚するのであれば300万円以上の慰謝料を請求すると良いでしょう。
夫婦関係を修復すると減額される
妻が浮気相手の子供を妊娠しても、あえて離婚しない旦那さまがおられます。
子どもがいる場合などには「修復して家族をやり直した方が良い」と考えるのです。
ただし妻との関係を修復すると、浮気の慰謝料は減額されます。
離婚したら300万円以上の慰謝料を請求できるケースでも、離婚しなかったら100万円以下になってしまう可能性が高くなります。
また離婚はしなくても別居になってしまった場合、中間的な金額である200万円程度が標準となります。
妻と復縁するときの浮気の慰謝料請求
妻と復縁するときには、妻に浮気の慰謝料請求をしてもあまり意味がありません。
夫婦である限り家計が同一になるからです。浮気相手のみに浮気の慰謝料請求を行う例が多いでしょう。
ただし浮気相手に慰謝料請求をすると、妻が反感を持って修復が難しくなるケースがあります。
浮気の慰謝料請求したとたんに妻が家出するケースなどもあるので注意が必要です。
もちろん浮気の慰謝料請求は法的な権利なので妻に遠慮する必要はありませんが、夫婦関係の構築にはお互いの感情が影響するので慎重に対応しましょう。
妻と離婚するときの浮気の慰謝料請求
妻と離婚する場合には誰に遠慮する必要もなく堂々と浮気の慰謝料請求できますし、金額も高額になります。
妻との離婚話とは別手続きで、浮気相手への慰謝料請求を進めてもかまいませんし、妻との離婚協議に浮気相手も交えて3者で話し合って慰謝料問題を解決する方法もあります。
離婚後の浮気の慰謝料請求
妻との離婚の際に慰謝料請求しなかった場合にも、離婚後3年間であれば妻へ慰謝料請求ができます。
離婚慰謝料の時効期間は「離婚後3年」だからです。
これに対し浮気相手への慰謝料請求権の時効期間は「浮気の事実と浮気相手を知ってから3年」なので、妻への離婚慰謝料より先に時効にかかってしまう可能性があります。
離婚後に慰謝料請求するのであれば、早めに請求をしてしまうのが良いでしょう。
まとめ
今回は妻が浮気相手の子どもを妊娠したときの法律問題と、旦那さまがとるべき対処方法を解説しました。
まずは子どもを産むかどうか決めなければなりませんし、離婚の問題、浮気の慰謝料請求など困難な問題がありますが、まずは浮気の証拠を手元に揃えて不利益を受けないように適切に対応していきましょう。
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