広告

離婚届の正しい書き方と提出方法、作成の注意点について

離婚届

旦那さまや奥さまと離婚すると決めたら「協議離婚」するケースが圧倒的に多いです。

 

そのためには「離婚届」を作成して、市町村役場に提出しなければなりません。

 

しかし「離婚届をどうやって書いたらいいのかわからない」という方もいらっしゃいますし、世間一般で離婚届について誤解されている事項もあり、提出方法についても押さえておく必要があります。

 

これを機会に正しく「離婚届」について知っておきましょう。

 

今回は、離婚届の正しい書き方と作成・提出の際のポイントなど、離婚届について知っておきたいポイントをご紹介します。

 

離婚届とは?

離婚の時の苗字変更と戸籍

まずは離婚届とはどのようなものか、みてみましょう。

 

離婚届を提出すると離婚できる

離婚届は夫婦が離婚をするときに作成して、市町村役場に提出する書類です。

 

離婚届を提出すると市町村役場の戸籍係の人が戸籍を書き換えて、夫婦の戸籍が別々になります。

 

これにより夫婦が離婚した扱いになります。

 

協議離婚の場合、離婚届を役所に提出するだけで離婚できるので、他に離婚協議書などの書類を作成する必要はありません。

 

ただし現実に離婚するときには、必ず離婚条件を詳しく取り決めて離婚協議書の形にまとめておくべきです。

 

この点については後の項目で詳しく説明します。

 

離婚が成立するタイミング

離婚届を提出すると夫婦の離婚が成立しますが、そのタイミングはケースによって異なります。

 

協議離婚で離婚届を役所に持参した場合には「提出日」が離婚成立日となり、戸籍に記録されます。

 

郵送で離婚届を提出した場合には「役所で離婚届が受け付けられた日」が離婚成立日となります。

 

発送日や離婚届作成日とは異なります。

 

調停離婚の場合には「調停成立日」が離婚成立日となり、戸籍に記載されます。

 

審判離婚や判決離婚の場合にはそれぞれ「審判が確定した日」「判決が確定した日」に離婚が成立します。

 

和解離婚、認諾離婚の場合には、それぞれ「和解が成立した日」「請求を認諾した期日」に離婚が成立します。

 

このように協議離婚の場合には多くのケースで「離婚届の提出日=離婚成立日」となりますが、家庭裁判所の手続きによって離婚するときには離婚届提出日と離婚成立日が一致しない例が多くなるので、理解しておきましょう。

 

離婚届の用紙を入手する方法

離婚届を作成するときには「離婚届」の用紙が必要です。

 

オーソドックスな入手方法としては市町村役場に行って「離婚届の用紙を下さい」と言えば渡してもらえます。

 

間違えたときのために2枚くらいもらっておくと良いでしょう。

 

離婚届の用紙は全国共通なので、自分の居住地の役所に行ってもらっても良いですし他の市町村役場でもらったものも使えます。

 

また最近ではインターネット上でダウンロードできる例も多いです。

離婚届ダウンロードhttp://www3.city.sapporo.jp/download/shinsei/procedure/00334_pdf/presen_00334_000.pdf

 

ネット上で「離婚届 書式」などと検索すると多くの市町村が離婚届けの書式をウェブサイト上においているので、役所に行く暇がなければ利用すると良いでしょう。

 

離婚届の提出先

離婚届の提出先は「全国の市町村役場」です。

 

自分の居住地や本籍地の役所に限らず、どこの役所でも提出可能です。

 

ただし本籍地以外の役所に提出する場合、現在の夫婦の戸籍謄本が必要となります。

 

郵送でも離婚届の提出が可能です。

 

離婚届を書くべき人、夫婦の「署名押印」について

離婚届を書くとき「誰が書くべきか」が問題となりやすいので、ご説明します。

 

夫婦それぞれが書かなければならないのは「署名押印欄」のみ

離婚届では、記入が必要な欄は左側のページに集中していますが、左側のページをみると夫婦それぞれの氏名、住所、父母の氏名等を書く欄があります。

 

離婚届

 

そして左側のページの一番下の欄に「夫婦それぞれの署名押印欄」があります。

 

このような形になっているので、多くの方は離婚届を作成するとき「夫婦の氏名や住所、父母の氏名などの欄」についても「夫婦それぞれ本人が自書」しなければならないと考えています。

 

たとえば離婚届の左側のページの左側部分はすべて旦那さまもしくは奥さまが記載し、左側のページの右側の欄はすべて奥さまもしくは旦那さまが記載しなければならないと思われているのです。

 

しかし離婚届において、夫婦が自署すべき部分は、左側のページの一番下の「夫婦の署名押印欄」のみです。

 

そこさえ夫婦がそれぞれ自署押印していたら、他の部分は誰が書いても有効です(ただし「証人」欄は証人本人がそれぞれ署名押印する必要があります)。

 

たとえば相手が離婚届の作成に非協力的なケースでは、とにかく離婚届の一番下の欄に「署名押印」さえしてもらえれば、その他の部分はすべて自分で書いて離婚届を提出しても良いのです。

 

この点は世間的に非常に誤解が多いところなので、おぼえておいて下さい。

 

相手に署名押印させた離婚届を保険として持っておく方法

この点について、よくあるのが旦那さんや妻が浮気したときに「保険」で離婚届を取得しておく方法です。

 

旦那さんや妻が浮気したとき、復縁すると決めても「再度同じ過ちを犯したら離婚する」と決める夫婦が多いです。

 

そのような場合、相手に離婚届に署名押印させてその離婚届を自分が預かり、相手が浮気したらいつでも提出できる状態にして相手にプレッシャーをかけるのです。

 

このとき離婚届の一番下の「夫(妻)の署名押印欄」だけ書いてもらい、保管しておけば足ります。

 

それ以外の部分は、実際に提出するときに自分が追加で記入すれば良いのです。

 

夫婦の署名押印欄を偽造したらどうなるか

以上のように「離婚届」は夫婦の署名押印欄以外は誰が書いても良いのですが、反対に、夫婦の署名押印欄だけは、夫婦がそれぞれ自署押印しなければなりません。

 

代理で第三者に署名押印させても有効ですが、勝手に無権限の人が署名押印すると「離婚届の偽造」になります。

 

よくあるのが、相手が離婚に応じてくれない場合や相手と親権者争いが起こっているときに、旦那さんや奧さんの了承なしに勝手に離婚届を作成して提出するパターンです。

 

このような離婚届は無効ですが、実際にはこのような場合でも役所で離婚届が受け付けられてしまいます。

 

いったん受け付けられてしまった離婚届を無効にするためには、家庭裁判所で「離婚無効確認調停」をしなければなりません。

 

相手が離婚の無効を認めたら調停で離婚を無効にできますが、相手が認めない場合には「離婚無効確認訴訟」によって、裁判所に離婚の無効を確認してもらう必要があります。

 

また離婚届の偽造は犯罪になりますから、相手を刑事告訴したら逮捕してもらえる可能性もあります。離婚届の偽造と提出によって成立する可能性のある犯罪は、以下の通りです。

  • 有印私文書偽造罪
  • 偽造有印私文書行使罪
  • 電磁的公正証書原本不実記載罪

 

離婚届不受理申出について

離婚届不受理届

このように旦那さんや妻が勝手に離婚届を偽造して提出したとしても離婚を無効にする手段はありますが、そのためには調停や訴訟が必要となって大変な労力と時間がかかってしまいます。

 

また相手を刑事告訴して処罰してもらえたとしても、当然に離婚が無効になるわけではありません。

 

そこでできれば離婚届の偽造と提出を防止するための対策をしておくべきです。

 

配偶者が勝手に離婚届を提出できないようにするためには、市町村役場で「離婚届不受理申出」をしておくと良いです。

 

離婚届不受理申出とは「申出人の意思確認なしに離婚届を受理しないでほしい」という申請です。

 

この手続きをしていたら、その後旦那や妻が勝手に離婚届を偽造して提出しようとしても、市町村役場は受け付けません。

 

そこで相手が勝手に離婚届を出す可能性がある場合には、早めに市町村役場に行って離婚届不受理申出をしておきましょう。

 

離婚届不受理申出をすべきケース

離婚届不受理申出をすべき場合は以下のようなケースです。

 

  • 自分としては離婚したくないけれど、旦那さまや奧さまが強く離婚を望み、離婚するよう迫られている
  • 旦那さんや奧さんの実家が「早く離婚するように」と言って、配偶者を煽っている
  • 子どもの親権について争いがあり、相手は「絶対に親権を渡さない」と言っている
  • 旦那さんや奧さんが浮気をしていて「早く浮気相手と再婚したい」と考えている様子である
  • 旦那さんや奧さんが浮気をしていて、慰謝料についての話し合いをしているけれども相手は「払わない」と言っている、もしくは金額的に折り合いがつかない
  • 旦那が浮気していて、浮気相手との間に子どもができたらしい

 

以上のように離婚そのものや親権に争いがある場合だけではなく、相手が浮気している場合にも離婚届を勝手に提出される可能性があります。

 

少しでもリスクがあるならば早めに市町村役場の戸籍係に行き、離婚届不受理申出の用紙をもらって必要事項を記入し、提出しておきましょう。

 

証人の署名・押印

離婚届の右側のページには「証人」欄があります。

 

離婚届を提出するときには2人の証人が必要であり、その2人が「証人欄」に署名押印しなければなりません

 

証人になれる人は20歳以上の人です。それ以外特に資格はありませんが、離婚の当事者である夫婦本人は証人になれません。

 

証人欄には証人の氏名、生年月日、住所、本籍地を書く必要がありますが、証人になったとしても何らかの義務を課されるわけではなく特にデメリットはありません。

 

また証人が必要となるのは協議離婚のケースのみです。調停離婚や裁判離婚のケースでは証人を用意する必要はありません。

 

証人は2人必要です。現実には夫側が1人、妻側が1人用意するケースが多いのですが(たとえば「夫の父」と「妻の父」が証人になる場合などです)、そのような決まりはありません。

 

夫側が2人用意してもかまいませんし、仲の良い友人に証人になってもらうケースもみられます。離婚の手続を依頼した弁護士に証人になってもらってもかまいません。

 

ただどうしても証人として適切な人が見つからない場合には、証人を紹介してくれる専門の業者を利用する方法もあります。

 

証人紹介業者を利用する場合には離婚届を業者に送り、証人欄に署名押印してもらって返送を受けます。

 

そして自分たちで証人欄以外を書き込み、役場に提出すると離婚できます。

 

こういった業者を利用すると費用もかかりますしプライバシーの問題もあるので、証人はできれば自分たちで用意した方が良いでしょう。

 

離婚届の書き方

離婚届の書き方

以下では離婚届の書き方を説明していきます。

日付

まずは日付を書き入れる必要があります。

 

ここに書く日付は基本的に離婚届の提出日ですが、郵送で提出する場合には離婚届作成日を記入しましょう。

 

郵送の場合、記入された日付ではなく市町村役場に離婚届が届いた日が離婚成立日となります。

 

夫婦の氏名、生年月日の記入

夫婦それぞれの氏名と生年月日を記入します。ここに書く姓は婚姻中」の姓です。

 

離婚後の姓を変える場合でも「離婚前の夫婦の姓」を書かなければなりません。

 

また戸籍謄本に載っている通りの漢字を書く必要があるので、旧字体を使っている場合などにも注意が必要です。

 

なおここの夫婦の氏名欄については、誰が書いてもかまいません。

 

夫婦それぞれが自署しないといけないわけではないので、誤解しないようにしましょう。

 

夫婦の住所と世帯主

住所欄には現住所を記載しますが、離婚届の提出とともに転居届を提出するなら転居後の住所を記載します。

 

現住所や世帯主については住民票で確認しましょう。

 

本籍

「本籍」は戸籍謄本に記載されている本籍地です。普段使っている「住所」とは異なるので注意が必要です。

 

本籍地を正確に記載するため、離婚届を作成するときには事前に本籍地のある役場に申請して「戸籍謄本」を1通取得しておきましょう。

 

父母の氏名(続柄)

夫婦それぞれの父母の氏名と続柄を書く欄があります。続柄欄には長男や長女、次男などと記入します。また父母の氏名についても誰が書いてもかまいません。

 

自分の親の名前は自分で書かなければならないという決まりはありません。

 

 離婚の種別

離婚の種別は、以下の6種類から選択します。

① 協議離婚
② 調停離婚
③ 審判離婚
④ 和解離婚
⑤ 認諾離婚
⑥ 判決離婚

 

協議離婚以外の場合には、調停成立日や判決確定日などの「日付」も入れる必要があります。調書や確定証明書などの書類を確かめて、間違いないように記入しましょう。

 

婚姻前の氏にもどる者の本籍

日本では夫婦別姓が認められないので、結婚すると妻が旦那さんの姓にしているケースが多いです。

 

その場合妻は旦那さんの戸籍に入っていますが、離婚すると旦那の戸籍には残れないので妻は旦那の戸籍から抜けます。

 

また離婚すると、妻は婚姻前の姓(姓を「氏(うじ)」といいます)に戻るか婚姻中の姓を名乗り続けるか選べます。

 

離婚で妻が旦那さんの戸籍から抜けるとき、妻は元の実家の戸籍に戻るか新たな戸籍を作成するかを選べます。

 

どちらにするのかについては「離婚届」によって指定しなければなりません。

 

実家の戸籍に戻る場合には本籍地は実家の家族と同じになりますが、新たに自分の戸籍を作る場合には本籍地を指定する必要があります。

 

新たな本籍地の場所は、日本国内であればどこでもかまいません。

 

ただ遠くの場所を本籍地に定めてしまった場合、戸籍謄本を取り寄せる際に毎回郵送で申請しなければならないので煩雑になります。

 

利便性を優先するならば本籍地は居住場所の近くにするのが良いでしょう。

 

離婚と戸籍の問題については以下の記事でも詳しく説明しているので、よろしければご参照下さい。

あとで読む!
子供の戸籍と苗字
離婚後の戸籍はどうなる?子供を同じ戸籍に入れる方法とは

旦那さまや奥さまと離婚すると、それまで同じだった夫婦の戸籍がばらばらに分けられます。   日本では妻が旦那さんの戸籍に入っているケースが多数ですが、その場合妻の離婚後の戸籍はどうなるのでしょ ...

 

未成年の子の氏名と親権者

未成年(20歳未満)の子どもがいる夫婦が離婚するときには、必ず「親権者」を定めなければなりません。

 

協議離婚であっても親権者が決まっていなければ離婚できません。

 

離婚届には未成年の子どもの氏名と親権者、続柄を書く欄があります。続柄の欄には「長女、長男、次男」などを記載します。

 

 同居の期間

離婚届には、同居の期間を書く欄もあります。

 

ここには「平成〇〇年〇月〇日~平成〇〇年〇月〇日」などの日付を入れなければなりません。

 

基本的に「同居を始めた日」は結婚式の日か実際に同居し始めた日の早いほうの日にちです。

 

正確に覚えていない場合には、だいたいの日にちでもかまいません(日付が合っているかどうかの調査は行われません)。

 

別居した日は夫婦の一方が家を出るなどして別居した日にちです。

 

別居していない場合には空欄でかまいません。

 

別居する前の住所

夫婦が別居している場合には別居前の住所地を記載しましょう。別居していない場合には空欄でかまいません。

 

別居する前の世帯のおもな仕事

夫婦が同居していたときの主な仕事内容を、農業、自営業、会社員、その他の仕事、無職などの6種類のなかから選択しましょう。

 

 夫婦それぞれの職業

夫婦それぞれの具体的な職業については、国勢調査が行われる年に離婚するときにのみ記載が必要です。国勢調査は5年ごとに行われており、次は令和2年の予定です。

 

その他

その他については特に書く必要がないケースが多いです。たとえば父母が養親の場合などに記載します。

 

 届出人署名押印欄

離婚届左側のページの一番下に「届出人署名押印」欄があります。

 

ここが離婚届の中で最重要な部分であり、唯一必ず夫婦それぞれの自署による署名押印が必要な部分です(ただし、代書は可能です)。

 

ここで勝手に相手の分まで署名押印すると「離婚届の偽造」になって離婚が無効になってしまう可能性もあるので、注意しましょう。

 

離婚届の必要書類

離婚届を提出するときに、本籍地の市町村役場に届け出るのであれば特に必要書類はありません。

 

ただし本人確認が行われるケースがあるので、運転免許証などの資料を持参しましょう。

 

またその場で簡単な間違いが見つかるケースもあるため印鑑も持っていくと良いでしょう。

 

本籍地以外の市町村役場で届出をする場合には「戸籍謄本」を要求されるケースが多いです。

 

離婚届を作成するときにも「本籍地」を書くために戸籍謄本があると確実なので、その際に取り寄せたものを持参すると良いでしょう。

 

調停、裁判の場合の離婚届

家庭裁判所

以上は主に「協議離婚」を前提とした説明ですが、離婚調停や離婚訴訟、裁判上の和解などによって離婚をする場合にも「離婚届」が必要なケースがあります。

 

これらの裁判上の手続きによって離婚する場合には「相手の署名押印」は不要です。

 

それ以外の部分を自分で書いて役所に提出すると、受け付けてもらえて離婚できます。

 

全部自分で書いても「離婚届の偽造」にはなりませんし、相手に離婚届を提出すると伝える必要もありません。

 

調停や訴訟などによって離婚届を提出するときには、期間があるので注意が必要です。

 

調停の場合は調停成立後10日、訴訟や審判の場合には判決確定後10日、和解や認諾の場合にはそれぞれの期日から10日以内に離婚届を提出しなければなりません。

 

期間に遅れても離婚自体はできますが「過料」というお金の制裁を科される可能性もあるので、早めに提出しましょう。

 

調停や裁判によって離婚届を提出するときの必要書類は以下の通りです。

 

調停の場合

調停調書謄本

審判の場合

審判書謄本、審判確定証明書

訴訟上の和解の場合

和解調書

認諾離婚の場合

請求の認諾調書

判決の場合

判決謄本、判決確定証明書

上記の場合、戸籍謄本も必要になるケースが多いので、用意して役所に持参しましょう。

 

離婚届の注意点

以下では離婚届を作成するときの注意点をご紹介します。

 

訂正の方法

離婚届を訂正するときには、訂正部分に二重線を引いて押印します。

 

このとき署名押印に使ったのと同じ印鑑を使う必要があります。

 

加筆するときは、余白欄に正しい内容を書きましょう。修正液による訂正はできません。

 

捨印を押しておく

離婚届を提出するときには、余白部分に捨印を押しておきましょう。

 

捨印についても署名押印したのと同じ印鑑を使います。

 

これにより、少しの間違いであれば役所側で訂正ができるので夫婦がわざわざ書き直しに行く必要がなくなります。

 

親権者以外の離婚条件についても取り決める

協議離婚をするときには親権者さえ決めれば離婚届を作成・提出できますが、実際には親権者以外の離婚条件についても取り決めて「協議離婚書」を作成しておくべきです。

 

このとき取り決めるべき離婚条件とは、財産分与や慰謝料、養育費や面会交流などの事項です。

 

協議離婚は離婚届の提出のみで成立しますが、これらの離婚条件を取り決めておかないと離婚後に争いが起こり、紛争が蒸し返されてしまうおそれが高まります。

 

たとえば旦那さんや奧さんが浮気しているケースで慰謝料を取り決めずに離婚した場合、離婚後3年以内なら慰謝料請求できます。

 

しかしそのためには、離婚後旦那さんや浮気相手と連絡を取って慰謝料の話し合いをしなければなりませんし、支払ってもらえない場合には地方裁判所で「慰謝料請求訴訟」などの裁判をしなければなりません。

 

そうなるとものすごい労力がかかりますし精神的ストレスも大きくなるので、できれば離婚前にすべて解決しておく方法が望ましいのです。

 

財産分与や養育費、面会交流などについても同じです。

 

離婚公正証書を作成する

公証役場

離婚条件を取り決めたら「離婚協議書」という書面にまとめますが、この書面を「公正証書」にしておくとなお良いです。

 

公正証書とは、公証人という公務員が作成する公文書です。

 

公文書なので非常に信用性が高く無効になりにくいですし、公証役場で原本が保管されるので紛失の可能性もありません。

 

公正証書で支払いの約束をしていたら、相手が不払いを起こしたときにすぐに相手の資産や給料を差し押さえられるのが一番のメリットです。

 

もし公正証書がなかったら、いちいち裁判や調停をしないと慰謝料や養育費を支払わせられないからです。

 

以上のように協議離婚するときには、離婚届だけではなく「離婚公正証書」も忘れずに作成しておきましょう。

 

再婚禁止期間について

離婚届を提出した後、別の人と再婚したいという方もおられますが、女性の方の場合には「再婚禁止期間」があるので注意が必要です。

 

再婚禁止期間とは「離婚届を提出してから再婚ができない期間」です。

 

女性は妊娠する可能性があるので、再婚によって父親が前の旦那か新しい旦那か分からなくなって混乱しないように再婚禁止期間が設けられています。

 

現在の民法による再婚禁止期間は100日です。ただし、以下のケースでは離婚届提出後100日以内でも再婚できます。

  • 元の旦那さまとの再婚
  • 妊娠できない年齢になっている
  • 病気など妊娠できない理由がある
  • 離婚前から確実に妊娠していて再婚前に出産した
  • 旦那さまが3年以上生死不明であり、離婚裁判によって離婚した
  • 旦那さまや奥さまの失踪宣告が認められた

上記の場合、子供の父親について疑義が発生する余地がないので再婚禁止期間が適用されません。

 

まとめ

離婚届は離婚する際に非常に重要な書類であり、作成の前後や作成方法にさまざまな注意点があります。

 

また離婚を有利に進めるためには、離婚届の作成だけではなく離婚条件の取り決めが重要です。

 

有利に離婚を進めるために「証拠資料」が必要になるケースも多く、たとえば旦那さまや奥さまが浮気していたら「探偵事務所の浮気調査報告書」などがあると高額な慰謝料を請求できる可能性も高くなります。

 

離婚届の作成・提出方法について不明な点があったら弁護士などの専門家に相談すると安心なので、積極的に法律事務所の無料相談などのサービスを利用しましょう。

 

探偵事務所から提携している弁護士を紹介してもらえるケースもあります。

 

続けて読む!
財産分与
離婚前から離婚後にかけて行うべき諸手続きについて

結婚するときには「この人と一生を添い遂げよう」と決めても、さまざまな理由で旦那さまや奥さまと離婚せざるを得なくなるケースがあるものです。   しかし離婚の際には非常にたくさんの手続きが必要に ...

続けて読む!
離婚と子供
離婚と子供

  離婚を考えた時、子供のために絶対知っておくべき知識を3つ紹介します!  

  • この記事を書いた人
【元弁護士】福谷 陽子

【元弁護士】福谷 陽子先生

京都大学在学中に司法試験に合格し、弁護士登録。勤務弁護士を経て、法律事務所を設立・運営。弁護士時代は離婚や男女問題の相談がとても多く、浮気の慰謝料請求を始めとして、財産分与、子供の親権、DVなどの事件に取り組む。女性の視点から、丁寧かつ柔軟にきめ細かい対応を行い、「カウンセラーに相談するより先生に相談した方が良い」などと言われ、口コミでも評判の人気弁護士となる。その後体調不良により弁護士事務所を一時閉鎖。現在は10年間の弁護士経験を元に法律の解説を中心とした執筆に専念。